都心部を中心に不動産価格が上昇しています。
住宅購入の際には住宅ローンを組むケースが多いと思いますが、不動産価格の上昇を受けて夫婦それぞれで住宅ローンを組み、一つの不動産を購入する「ペアローン」が増えています。今回はペアローンについて書きたいと思います。
私が子供の頃、友達や親族などの家庭を見ていると、父親が働いて母親は専業主婦で子育てをするといった家庭が現在よりも多かったです。女性は学校を卒業して就職しても結婚・出産を機に退職をして、専業主婦になる人がかつては現在よりも多かったのです。
近年では女性の大学進学率も高くなり、大学で懸命に就職活動して入社した企業を、結婚などで数年で退職する女性が減りました。企業側もせっかく戦力に育った女性社員を結婚などで退職されてしまうと戦力ダウンになり、企業が育児休暇を推奨するなどで夫婦で共働きの家庭が増えています。不動産価格の上昇だけでなく、このような家庭事情の変化もペアローンが増える要因となっています。
今年、野村不動産が東急東横線沿いに分譲した都内の低層新築マンションは、70平米台の中心価格帯が1億1000万円〜1億4000万円程度でしたが、この物件の購入者の7割ほどがペアローンを組んだようです。物件価格も1億円を超えて高くなっており、ペアローンを組むカップルが増えたと販売担当者が語っているニュースが報じられていました。
全国各地の物件を扱うauじぶん銀行の担当者は「ペアローンの比率は足元で3〜4割くらい」と、都心部でのペアローンの比率が高まっているとのことです。夫婦2人でならば、1人で買えない物件に手が届くこともある訳です。
国土交通省の統計で2022年度の新築マンションのデータでは、購入年齢の平均が約45歳、平均の返済期間は約30年でした。そうすると完済年齢は75歳ですが、実際は退職金や繰り上げ返済などでもっと早く返済している人が多いです。借りる時もいくらまで借りられるか、そしていくら借りるのか。収入や自己資金、返済比率などで家庭により事情は様々でしょう。
夫の年収が高く妻の年収がそこまで高くないケースでも、住宅ローン減税の枠いっぱいの4000万円ずつ(計8000万円)をペアローンで借りるようなケースも目立っています。年収差になぞって夫で6000万円、妻で2000万円などにすると、夫側で2000万円分の住宅ローン減税の枠が使えなくなるからです。
さて、住宅を買って実際に生活をすると、色々なことがあるはずです。時には夫婦喧嘩をすることもあるかもしれません。但し、夫婦喧嘩が大きくなり、それぞれがペアローンを組んだ状態で離婚するとなると、少し事情が難しくなることもあります。ペアローンは夫婦がお互いを連帯保証しているので離婚してもローン残債は残ります。なので、どちらかが継続してその家に住み続けるとなると一方に不公平感が高まります。売却の際も共有名義なので、夫の考えや妻の考えだけでは売却出来ずに夫婦で意見を一致させなくてはいけません。
また、夫婦どちらかが死亡してしまうなど、不慮の事故やがんなどの重病の際も基本的にローン債務が無くなるのは、死亡したり重病にかかった人の側だけです。その辺りも熟慮する必要がありそうです。
但し、りそな銀行などでは、夫婦どちらかが死亡したりがんなどの重病になると、夫婦のどちらも抱えたローン債務が無くなるタイプのペアローンも登場しています。但し金利が上乗せされるのでローン払いは増えますが、その分の安心感はあります。
住宅ローンは基本的に長期の返済ですので、育児休業期間は給付金が出ますが育休前よりも収入が減ることや、大企業に勤めていても55歳くらいで役職定年で関連会社への出向があったり、定年後の再雇用では収入が減ることもあるかもしれません。先々のことも考慮しておく必要がありそうです。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
住まい
種別
最新記事
ONLINE meeting
オンライン相談
遠方の方やお時間の都合が合わせにくい方は
オンラインでのご相談も可能です。
お問い合わせフォームから希望の日時とご相談内容をお知らせください。
オンライン相談の流れは予約完了後のご案内メールにてお送りいたします。
ご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
首都圏エリア限定
個別相談会
自宅や職場などご都合の良い場所から、ビデオ通話を使用して、物件の購入・売却・賃貸はもちろん管理・投資・相続など不動産に関わることは何でもご相談できます。
CONTACT US
お問い合わせ
質問やご相談がある方は
こちらからお問い合わせください。