住宅ローンを組む世帯の返済期間が、長短で二極化する傾向が出てきました。都心部では住宅価格が上昇しており、月々の返済額を抑えようと住宅ローンを長期で組む世帯が増える一方で、今後の金利上昇を想定して、比較的に短い期間で組む世帯も増加しており、長短の二極化が進んでいます。
2023年10月から2024年3月までに住宅ローンを借り入れた人を対象に、住宅金融支援機構が実施した調査によると、返済期間が「35年超40年以内」が13.7%、「40年超50年以内」が2.3%で、足して35年超が16%でした。3年前の調査では35年超の長期借り入れをする人が8.6%だったので、今年の調査結果は2倍近くに増えました。
長期化のニーズを受けて、最長50年の住宅ローンを提供する金融機関が増えてきました。2023年夏には住信SBIネット銀行が、2024年春には楽天銀行が取り扱いを開始しました。中央労働金庫、静岡銀行は最長40年、九州・沖縄や東北地方などの地方銀行では最長50年に延ばす地銀が相次いでいます。
昨夏に最長50年ローンに参入した住信SBIネット銀行では、35年超の借り入れをする人の割合は足元で1割程度と順調に増えているようです。「35年の借り入れを40年程度に延ばして、月々の返済額を1〜2万円ほど抑えたい契約者が多い」とのことです。
住宅ローン長期化の背景には住宅価格の上昇があります。国土交通省が発表した2024年4月の不動産価格指数(2010年平均=100)はマンションで200と2倍に。地域別では北海道が271と最も高く、九州・沖縄が260となっています。
一方で短期志向も増加しており、20年以内の借り入れをする人の割合は14%で3年前の10%から4ポイント増えました。主流だった「30年超35年以内」の比率が相対的に減少傾向にあります。
現在のように金利に先高観が強まると、足元の金利水準で固定金利での借り入れを考える人も増えます。ただ、返済が長期間になればなるほど月々の返済額は抑えられますが、金利負担に伴い返済総額は増加します。パワーカップルと呼ばれる夫婦ともに相応の年収がある層では、短期返済を志向する傾向が強くみられます。
今年7月末には、日銀による利上げの発表があり、住宅ローンの返済負担は増える見込みです。植田日銀総裁の発言でも今後の利上げに含みを持たせており、市場関係者の間では「7月に続き年内(12月)にも利上げがあるのでは?来年も更に追加利上げが織り込まれている」との見方が一般的です。
金利上昇局面では特に、長期返済の金利負担が重くのしかかります。現状で8割程度の人が選ぶ変動金利ですが、今後は固定金利を選ぶ人が増えるはずです。また、長期返済の金利負担を避けて、短期返済を選びたい人も増えるはずです。
住宅ローンを借り入れる段階では短期返済で組めなかったとしても、日々の生活の中で繰り上げ返済の資金を積み上げていったり、条件が良い他行への借り換えや、固定金利への切り替えなども考えておくと良さそうです。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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