タワーマンション。
正確には定義されていませんが、一般的には20階建て以上のマンションを指します。タワーマンションは都心部エリアを中心に数多く建築され、「タワーマンションに住みたい」と憧れを抱く人もいらしゃると思います。今回はそんなタワーマンションの先々のリスクについて書きたいと思います。
日本で初めてのタワーマンションは、埼玉県の与野ハウスで1976年1月に建てられ築48年になります。総戸数463戸で4棟からなる大規模マンションで、現在は4回目の大規模修繕工事中です。今回の大規模修繕工事は約5億8000万円を見込み、工事を終えての修繕積立金の残高は約3100万円になる見込みだそうです。
私のブログでも書いたことがありましたが近年は人手不足・資材高騰などで工事費用が高騰しており、与野ハウスに限らず大規模修繕に関しては工事費用の高騰は懸念材料です。
しかし、タワーマンションは、通常のマンションよりも修繕工事費用が割高になる点は考慮しておく必要があります。複雑な構造や仕様のタワーマンションは、大規模修繕の際に屋上から吊るすゴンドラを特注する必要があり、コストが増えるのです。また高層ゆえに強風や強雨の際は危険度が高まり工事を中断せざるを得ず、工期が延びることが頻発しやすいのです。
更にタワーマンションに使うコンクリートは荷重を減らす為に、軽量気泡コンクリートのコンクリートパネルを組み立てていく工法が一般的です。パネル継ぎ目の防水処理の劣化が早いので、大規模修繕工事の時期が遅れると雨水の侵入などの恐れが高まります。一般的なマンションのようにコンクリートを枠に流し込んで外壁を作る工法の方が長持ちするので、大規模修繕工事の時期の遅れには耐性があります。
都心部エリアのタワーマンションには、中国の方を中心とした海外の富裕層が購入する事例が増えています。外国人の区分所有者が増えると、管理組合の運営でコミュニケーション不足が増えたり、「所有者が海外に居て連絡が取りにくい」こともあります。所有者が海外居住していると、管理費・修繕積立金に滞納が発生した場合の督促に手間と時間を要します。
また、タワーマンションに限りませんがマンションが築年数を重ねていくと、区分所有者を中心とした住人も年齢を重ねていきます。もちろん、中古の流通市場で中古マンションとして入居してくる若い世代もいます。しかし、多くの区分所有者が年齢を重ねていくと「先の人生はそう長くないから、修繕積立金の増額は避けたい」などの意見が増えて、修繕工事に充てる費用が後回しがちになることがあります。
これらの懸念を踏まえ、神戸市(兵庫県)は市内最大の繁華街である三ノ宮駅・元町駅や、新幹線停車駅の新神戸駅などの周辺地域は、タワーマンションの新規建設を規制する条例を2019年に盛り込みました。2011年から既に人口減少が続いている神戸市です。神戸市長は過去の定例会見で「数十年先、タワーマンションが廃墟化する可能性も考えられる」と発言しています。また、神戸市都市計画課の担当者は「タワーマンションには多様な方がお住まいで、実際に居住していない所有者が多いなど、修繕などの合意形成が難しい場合があることが懸念されます」と発言しています。
人口減少が進む日本です。ブームに乗ってタワーマンションが乱立する事態を懸念する識者や、他の自治体の担当者からは神戸市のタワーマンション規制の条例を評価する声があります。タワーマンションは日当たり・眺望が良く、設備も豪華で充実しており人気があります。また、人気のタワーマンションは価格が落ちにくいので転居の際には利益が出ることも多く、リスクだけでなくメリットも頭に入れておきたいです。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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