スマートロックの防犯対策

玄関鍵の開閉を制御するスマートロック。スマートキーとも呼ばれます。

近年普及していて機種によっては施錠し忘れて外出してしまっても、外出先からスマートフォンで鍵を施錠することが出来る機種もあり、利便性が高いです。また鍵を紛失したり、複製されたりするリスクもありません。

今回はそのスマートロックの防犯対策について書きたいと思います。

 

スマートロックの利便性を逆手に取って、一人暮らしの女性宅に侵入する事件が複数発生しました。逮捕された男は女性の生活に興味があったと供述しています。男は被害女性と同じマンションの住人でした。

そのマンションには各部屋にタッチパネル式のスマートロックが設置されており、各住人が予め設定した4〜12桁の番号を入力することで、鍵が開き各部屋に入室出来るようになっていました。その男の犯行手口は、集合ポストの郵便物を物色して一人暮らしの女性宅を見定め、室内灯が消えておりインターフォンを鳴らしても返答が無い部屋をターゲットにしていました。スマートロックパネルに付着した皮脂の跡から暗証番号を推測したようです。

スマートロックは入力ミスが複数回続くと一定時間ロックが掛かる機能を備えていますが、ロックが掛かると日を改めてリトライするという周到さでした。被害女性は暗証番号を4桁に設定していました。パネルの皮脂の跡から4つの数字を特定した場合、4桁の暗証番号は計24通りの組み合わせで認証を突破出来る計算になります。男は5月に30代女性宅に、7月には別の20代女性宅に侵入し室内の写真撮影を行いました。再度侵入しようとした際に在宅していた女性に見つかり、住居侵入未遂などの疑いで逮捕されました。

いずれの被害女性も暗証番号は複雑な12桁にするよりも、簡単に4桁にしたくなる思考を突かれた訳です。毎日のことなのでその思考も理解出来ますが、せめて6桁や8桁などにするなど防犯意識を高める必要がありそうです。

別の住居侵入事件では、男は一人暮らしの女性宅のスマートロックに透明塗料を塗布し、女性が入力後に特殊な光を当てて塗料のはがれ具合から認証を突破していました。この男は複数回侵入して隠しカメラを設置したり、被害女性のマイカーにGPS発信器を取り付けるなどで女性の行動を監視。男は計3人の女性宅に侵入していました。聞くだけで恐ろしいです。

防犯対策の専門家は、タッチパネルの数字配列がランダムに変わるタイプで、特定の箇所だけ触れて皮脂跡が残るタッチパネルを避けるなどの対策を推奨しています。

一方で警察は誕生日など推測されやすい暗証番号を避け、こまめにパネルの汚れを拭き取るなどの対策を呼びかけています。4桁の暗証番号の場合はキャッシュカードと同じ暗証番号を使い回すケースも推測され、自宅で保管していたキャッシュカードから金銭被害へと広がる可能性があります。スマートロックは利便性が高い商品ですが、使う側も犯罪に遭わないように注意しなければいけません。

この記事を書いた⼈

株式会社アドワン・ホーム　代表取締役
古田 晋一

宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、１級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者

新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞（全社1位）をはじめとして住友林業グループ表彰（年間全社3位以内）を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。