2025年の東京23区の新築マンション販売価格(1〜11月)は平均で1億3366万円(不動産経済研究所調べ)となり、前年同期比で19.5%増となりました。
特に東京都心部などでは、夫婦ペアローンなどで1億円超のローンを組んで購入に踏み切る層の一方で、購入を諦めて賃貸住宅に住み続ける人が増えています。それに伴い賃貸需要が引き締まり、賃料相場がじわじわと上昇しています。
東京23区では、ファミリー層向けマンション募集賃料が可処分所得の4割を超えてきました。都心部では、手頃な賃貸物件を探すのが難しくなりつつあります。変動が少ないとされていた家賃の本格的な上昇は、新たなインフレ圧力となります。
全国的には人手不足による高水準の賃上げが進み、地方圏を中心に負担割合が低くなっていることが多いようですが、東京は異なるようです。新たに東京で家探しをする人に限れば、東京23区のファミリータイプの平均募集賃料は不動産情報サービスのアットホームのデータによると、足元で前年同期比10%程度の上昇となっています。
家計調査の東京23区の2人以上勤労世帯の可処分所得を分母にして、募集賃料の負担割合(12か月移動平均)を試算すると、2025年11月は45.5%に達しました。過去10年ほどは35〜40%ほどで推移していたのが、2025年に入ってからほぼ右肩上がりとなっています。
一般的に、家賃は可処分所得の25〜30%にとどめるのが目安とされています。住み続けている人に比べて、新たに住む人向けの募集家賃は高めになりやすいとはいえ、4割超えが状態化すれば、もはや東京23区で新たに家を借りるのは難しくなります。東京23区は買うのも大変ですが、借りるのも難しくなっているデータと言えます。
家賃上昇の背景には、新築マンションの販売価格の高騰があります。2025年の東京23区では、都心駅近のタワーマンションの販売が相次ぎ、建設費・人件費の上昇分を価格転嫁したこともあり、前年同期比で約2割も上昇しました。
2026年は都心高級物件の供給が減るため大幅な上昇は考えにくいですが、今年の新築マンションの供給戸数は約8000戸にとどまり、この10年では最小の見込みです。供給戸数が少なくて建設費・人件費の上昇分を転嫁していくことを考えると、2026年も価格が下がる見込みは低いと思われます。
ファミリー層がマイホーム取得を諦め、賃貸に住み続ける需要が高まったことも一因とみられます。資材価格や人件費高騰分も、少しずつ家賃に転嫁されるようになりました。貸主が負担する維持修繕費のコスト増や、金利上昇による借入金のコスト増も押し上げ要因です。
賃料相場の上昇に伴い、貸主と借主の間でのトラブルも増えており、東京都は2025年10月に家賃トラブル相談窓口を開設しました。そこでは毎日電話が鳴り続けています。「家賃を5.1万円から7.1万円に上げると言われた。嫌なら出ていけ」といった借主からの相談や、「更新のタイミングで突然覚書が届き、覚書には13万円が19.5万円になると書かれてあった。管理会社に問い合わせると近隣の不動産相場に合わせると言われたが、突然なのとあまりにも値上げ幅が多過ぎると感じたが従わなければいけないのか」といった借主からの相談がされていました。
対応した相談員は「ここ最近、急激に相談が増えたと感じる」と話していました。家賃は長期的に変動が少なく「岩盤品目」と呼ばれていましたが、ここ1〜2年で大きく様相が変わっています。
日本の家賃が硬直的な理由は、借地借家法は賃貸物件の貸主が一方的に家賃を上げることを、原則的に認めていないことが大きいです。ですので、上記のような貸主が一方的に「7.1万円や19.5万円に上げる。嫌なら出ていけ」は原則認められないです。
借りる側の立場が強く、契約更新の際などに貸主が家賃の改定を求めても借主が同意せず、従来の家賃を払い続けていれば貸主は契約を解除することは難しいです。貸主・借主間で対立が続く場合は、最終的には訴訟などで司法判断をあおぐ必要があります。但し、契約期間の定めがある定期借家契約は別で、期間満了で契約終了となります。
賃料を上げる場合は借主が退去してから、次の新規募集する際に上げる場合が多いです。借主が住み続けている限り、長年家賃が据え置かれるケースが珍しくありません。消費者物価の算出には住み続けている人の家賃も含まれているので、変動が小さくなりやすいです。
また欧米では、消費者物価と家賃が連動する契約方式が一般的なので、頻繁に家賃が改定されます。ちなみに米国の足元の家賃は消費者物価と同程度の毎年3%くらい上がっているはずで、日本とは契約方式が大きく異なります。
仮に将来的に経済情勢が急変するなどして値上げするべきだと判断しても、経済情勢や社会情勢に照らして常識的に借主様と協議していきたいと思っています。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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