渋谷区で区立小学校と隣接するマンションを再開発する計画があります。それがちょっとした騒動になっており、今回はその件について書きたいと思います。
核となるその物件は、渋谷駅から徒歩10分ほどの場所にある区立神南小学校(築約60年)と渋谷ホームズ(築約50年)です。それぞれの位置関係は渋谷区役所の南隣に神南小学校があり、渋谷公会堂(区役所の東隣)の南隣にあるのが渋谷ホームズです。渋谷ホームズは分譲マンションですが、物販などの商店も入って一部が商業ビルのように使われており、人通りの多いエリアに存し比較的に人気が高い物件です。
渋谷区の計画では事業者として東急不動産などが参画し、150メートル(34階建て)のタワーマンションと、神南小の建設を同時に進めます。計画の中身は神南小の空中の権利である容積率を500%から減らして、減らした分を渋谷ホームズ側に譲り渋谷ホームズ側の容積率を現行の500%から650%に増やします。これは容積適正配分型地区計画という制度で、容積率を緩和する特例制度で1992年に創設されました。
更に市街地再開発事業の高度利用地区の指定を受けて650%→1000%へ。その結果、現在14階建ての渋谷ホームズは34階建てタワーマンションに生まれ変わり、延べ床面積が増え部屋数が増やせるので、事業者側は住戸の売却益が見込める訳です。事業者側は神南小の容積率をもらう対価として、神南小の建て替えと周辺の道路や広場を整備してその費用も負担します。
このようなスキームは東京駅の上空やその周辺などでも事例があり、東京駅の駅舎の上空の容積率を東京駅周辺の超高層ビルに売却して、ビル側は容積率をより増やしてより高い超高層ビルを建てました。但し、東京駅はJR東日本、周辺のビルは三菱地所などの所有なので民間同士の取引です。今回の渋谷区の事例は公共財産である区立小学校が対象なので様子が異なります。
一部の住民や業者が利することに繋がるので、渋谷区は政策決定のプロセスの透明性や、区民への丁寧な説明が求められます。しかし、現状で賛否両論が激しく交錯しています。反対意見の例としては「小学校の建て替え費用に比べて、容積率の緩和の恩恵が大きいので、開発業者が儲かるだけ」との意見が出ています。
また、渋谷区役所と渋谷公会堂の一体開発で生まれた、渋谷ホームズから40メートルほどの場所にあるタワーマンション(39階建て、143メートル)の住民も計画に反対しています。より大きなタワーマンションが建てられると「南東側の景観が台無しだ。資産価値が下がる」との意見が出ています。もちろん、渋谷ホームズの住民は賛成です。
渋谷区長は2月の会見で「計画は正式な手続きに則って進めている。公開しているホームページでも説明しているが、誤解されているところも多い」と述べ、住民が求めている説明会については「機会をみて考えていきたい」と述べるにとどめています。意見交換会は過去に実施されたようですが、区が事業決定した2023年12月の渋谷区都市計画審議会の以降での説明会の実施が待たれます。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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