岸田首相肝煎りの定額減税が2024年6月から始まりました。2024年分の所得税・住民税の徴収額から定額が控除されます。定額減税は1人あたり4万円で、所得税から3万円、住民税から1万円が差し引かれます。配偶者と子供2人の4人家族であれば、計16万円の手取り収入が増えます。所得制限があり年収2000万円以上の人は対象外です。
定額減税は物価高対策として昨秋に発表した施策で、野党からは事務負担・手間を考慮すると「実施するなら一括で現金給付にすべきでは」や「2024年6月に実施するのは(当時は今夏頃に解散が噂されていた衆議院解散総選挙への対策で)バラマキではないのか」などの否定的な意見が多く出ていましたが、岸田首相が押し切った経緯があります。
しかし、元日銀副総裁や野村総合研究所のエコノミストなど金融政策に精通した人達からは、実質的な物価上昇に対して減税規模が小さいので、経済指標を分析した上で「非常に効率が悪い施策」「消費を喚起して景気を回復する力はない」「もらえないよりはマシな程度」などと評判が悪いです。
地方自治体の現場も実務のスムーズな遂行や企業・個人からの問い合わせ対応の為に、4〜5月に勉強会などを開いて準備していました。国税局でも企業の経理担当者を集めて、研修会を開いて理解を深めてもらおうと努力していましたが、企業の経理担当者も理解するのが大変そうでした。
また、国の所得税と自治体の住民税では減税手法が異なっており、必要な給付金額を推計して支給する膨大な実務を自治体が担うのは大きな負担でもあります。そもそも6月の単月で満額減税されるのは、比較的に収入が高い層に限られます。元の納税額が少ない場合は減税額に達するまで数ヶ月かかることもあり、月々数千円の場合では減税の実感を得にくいのが実態です。
それでも政府は「恩恵を実感してもらう」として、減税額を給与明細に明記することを求めています。それであれば負担が増えた部分の検証もして欲しいところです。
そんな中、イオンでは全国の総合スーパー500店舗で定額減税に伴うセールを順次始めると発表しました。ベビーカー、ランドセル、液晶テレビ、コードレス掃除機など、通常では5〜6万円程度の商品を4万円均一で販売するセールです。最大4割引での販売で、小売の現場ではビジネスチャンスに繋げています。
確かに弊社でもコストをかけて対応していますが、せっかくですので個人的には前向きに捉えて恩恵を享受したいと思います。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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