2025.02.20 その他 税制・法律関連 代表ブログ その他

相続人なき遺産が1000億円

相続人不在キーエンス相続土地国庫帰属制度所有者不明の土地国庫

死亡して相続人が不在の場合、遺産は国庫に入ることになります。

 

2023年度に国庫に入った金額が、初めて1000億円を超えたと報道されました。配偶者や子供がいない単身の高齢者が増えており、今後も国庫に入る金額が増える可能性が高まっています。

 

先日、兵庫県宝塚市に住む70代の夫婦が、宝塚市へ254億円を寄付したと報じられました。夫婦は「宝塚市民の為になるなら」との想いで、宝塚市立病院の建て替え費用としての寄付のようです。この報道をご存知の人であれば「すごい人が居るなぁ」と感じた人もいらっしゃるでしょう。その後の週刊誌報道などによると、この夫婦はセンサーやファクトリーオートメーションなどのメーカーであるキーエンスのOB・OGで、夫はキーエンスの創業者と共にキーエンスの創業期から支えた技術者で、常務まで昇り詰めたとのことです。

 

キーエンスは工場を持たずに製造は委託するファブレスメーカーで、販売では代理店を通さずに直販で高収益を稼ぐビジネスモデルです。ファブレスメーカーで世界で最も成功している企業としては米アップルが有名ですが、日本では株式時価総額からするとキーエンスだと思います。キーエンスは社員の平均年収が2000万円を超えることで有名で、妻もキーエンスで働いていましたが結婚後に退職したようです。

 

外車を乗りまわしたり、ブランド品に身を包むような夫婦ではなく、ラフな普段着で国産車に乗っていると報じられていました。高額を寄付する人は寄付額よりも一桁以上多い資産を持っていると私は予想しますが、お金持ちであっても大金を寄付しようと考えることが出来る思考が素晴らしいと思います。

 

このような金融資産だけでなく、不動産の相続でも問題点が指摘されています。相続人が不在だったり、過疎地で資産価値が低いなどの理由で、相続時に登記されない「所有者不明の土地」が全国で増えており問題になっています。所有者不明の土地は再開発や道路拡幅などの際に、交渉が出来ずに頓挫してしまいます。相続登記されていないと所有者にたどり着けず、調査に費用と年月をかけて真の所有者を調べ上げた時には既に複数の相続が発生しており、1つの土地の所有者が100人を超える例もあります。そうなると意見調整や交渉に大きな支障となります。

 

2023年4月から土地は、国が不要な土地を引き取り国有地とする「相続土地国庫帰属制度」が始まりましたが、金融資産については国庫に帰属すると使途が選べません。専門家は「望む使い道があれば早めに遺言を作るべき」と指摘しています。

 

最高裁によると、相続人不在で国庫に帰属した財産収入は2023年度に約1015億円となり初めて1000億円を超え、2022年度の約768億円から約32%増えました。10年前と比べると約3倍です。

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この大きな要因は単身高齢者の増加です。65歳以上の人口が約3952万人のうち単身世帯は21.6%(約855万人)でした。10年前の17.7%から増加しています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では2050年の単身世帯は1084万人になると予測しています。

 

家族を持つ人が少なくなったり晩婚化で子供を作らなかったりなどで、今後も相続人不在で国庫に入る財産収入は増えていきそうです。

古田 晋一
この記事を書いた⼈

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一

宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者

新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。

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