落とし物をクラウドで一括検索

電車などでの移動中に落とし物をして後から気付いて、「無い！」や「あれっ！」などとハッとした経験がある人は多いと思います。電車やバスを乗り継いだりタクシーに乗ったりした後に商業施設を利用すると、どこで落としたのか分からないことも。

落とした物によりますが、多くの人は落とし物を探す行動に出ると思います。乗ったタクシー会社が分かればその会社に電話をしたり、電車を乗り継いだ場合は乗車した電鉄会社にそれぞれ電話をしたりして・・・、という対応をすることが多いと思います。立ち寄った場所が多いほど手間や時間を要するのですが、それがLINEで一括して調べることが出来るようになりつつあります。

 

今回のブログはそのようなお話です。

落とし物管理システムのfind（ファインド・東京）は、京浜急行電鉄（京急）やタクシー会社の日本交通など、約20社で駅や車内の落とし物を横断して検索出来るサービスを始めています。従来では、落とし主が利用した交通機関や施設ごとに問い合わせる必要がありました。交通機関だけでなく商業施設などの業界横断で落とし物を見つけやすくして、交通機関側や施設側の業務負担の軽減にもつなげます。

ファインドが手掛ける「落とし物クラウドfind」は駅などに届けられた落とし物情報のデータベースを構築し、利用者が素早く見つけられるようにします。

まずは、駅員などが発見した落とし物を写真撮影してファインドのオンライン上に登録します。ファインドの担当者が落とし物をした利用者からの問い合わせにチャットで答えます。利用者は電話での会話は不要で、落とし物の特徴を回答し返信を待ちます。交通機関側や施設側の窓口対応も不要で、探す方も落とし物を預かっている方もお互いのメリットを感じます。

2023年に京王電鉄で本格的に展開を開始しました。現在は羽田空港やショッピングモールなど、国内約3500の施設が採用しています。従来は落とし場所や路線が不明な場合は、利用した利用路線や利用施設に問い合わせる必要がありました。

2026年4月からは関東圏最大の交通機関であるJR東日本がファインドを利用し、商業施設の渋谷スクランブルスクエアも同時期から利用します。ユニークな施設では、大阪にある近畿大学が利用していて、対応する職員の負担を減らして本来の職務に専念してもらおうという狙いです。

2026年末には鉄道だけでなく、百貨店などの商業施設を含めてすべての横断検索に対応して、2028年までに500以上の企業への導入を目指しているようです。ファインドは2021年設立のスタートアップ企業ですが、これまでにベンチャーキャピタルやJR東日本などから累計で既に約13億円を調達しています。

また、問い合わせが無いなどで受け取り人がない落とし物は、警察に届け出て3ヶ月後までに受け取りが無い場合は事業者に返還・処分されます。返還された物で商品価値がありそうな物はメルカリなどリユースのプラットフォームを使って売却して、売却代金の3割程を落とし物を発見した企業に還元するようです。交通機関が車内などでの落とし物の販売会を定期的に実施していますが、このような落とし物の販売会は今後減少するかもしれません。

今後はファインド側が自社倉庫を持ち、落とし物を一括管理するサービスを検討しているようです。落とし物なので、商品を仕入れたりする資金は不要なビジネスで、身近なところでよく思いついたものだと感心します。

メルカリで商品を売却しても、仕入商品ではありませんので利益率は高いです。

アイデア一つで大きな資金調達が出来るのだと、企業を経営している私としても見習いたいと思います。

この記事を書いた⼈

株式会社アドワン・ホーム　代表取締役
古田 晋一

宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、１級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者

新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞（全社1位）をはじめとして住友林業グループ表彰（年間全社3位以内）を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。