空き家をなぜ売らないのか、その理由には思い出への愛着や相続人同士の意見の違い、解体費用の負担などがあります。この記事では、空き家を売らずに放置するリスクや、名義・権利関係が複雑な場合の対処法、売りにくい空き家の売却・活用方法を解説します。
「実家を相続したけれど、なかなか売る気になれない」とお悩みではありませんか。空き家を売らない背景には、思い出への愛着だけでなく、解体費用の負担や建物の古さ、相続人同士で意見がまとまらないことなど、さまざまな理由があります。
この記事では、空き家を売らない理由や放置するリスク、相続した空き家の手続き、売りにくい物件への対処法を解説します。
Q1: 空き家を売らない理由にはどのようなものがありますか?
空き家を売らない理由には、思い出への愛着や家財の片付けが難しいこと、解体費用の負担などがあります。また、建物の古さや、相続人同士で意見がまとまらないことも理由のひとつです。
感情的・心理的な理由
親が長く暮らした家には、家族で過ごした思い出が詰まっています。「いつか帰る場所として残しておきたい」と考え、売却に踏み切れない人もいます。
また、家の中に残った家具や荷物の片付けが負担になり、売却を先延ばしにする場合もあります。国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、今後5年間程度は空き家として所有しておく意向の世帯が、以下の理由を挙げています(複数回答)。
・物置として必要:55.8%
・仏壇など他に保管場所がないものがある:21.6%
・家財などの処理が困難:21.6%
最も多かったのは物置としての利用で、家財の保管や処分の難しさも、空き家を所有し続ける理由となっています。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」47ページ
経済的な理由
同調査では空き家として所有しておく理由として、以下の回答が挙げられています(複数回答)。
・解体費用をかけたくない:47.3%
・住宅の古さ:37.0%
・取り壊すと固定資産税が高くなる:28.2%
築年数が古い家は、建物の状態によって売却価格が低くなる場合があります。また、解体するには費用がかかるため、売却をためらう人もいます。
さらに、住宅が建っている土地には、固定資産税を軽減する「住宅用地の特例」があります。家を取り壊して更地にすると、原則としてこの特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が上がる場合があります。
こうした費用や税金の負担、建物の古さが、空き家を手放さずに所有し続ける理由につながっています。なお、同調査で「希望する価格で売れそうにない」を挙げた世帯は7.5%でした。
出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」47ページ
Q2: 空き家を放置するとどのようなリスクがありますか?
空き家を放置すると、建物の老朽化によって資産価値が下がるほか、固定資産税や管理費の負担、近隣トラブルなどのリスクが生じます。放置する期間が長いほど建物が傷み、売却が難しくなるおそれもあります。
老朽化による資産価値の低下
人が住まなくなった家は、換気や掃除が行われなくなることで傷みが進みやすくなります。雨漏りによって柱や床が腐ったり、シロアリが発生したりすると、建物の強度が低下するおそれもあります。
建物の傷みが進むほど、買い手から見た価値が下がり、修繕に必要な費用も増える場合があります。
固定資産税や管理費の負担
空き家は住んでいなくても、毎年固定資産税がかかります。草刈りや清掃、台風や大雪のあとの点検も必要で、遠方なら交通費も発生します。
さらに、適切に管理されていない空き家は、放置すると周囲に悪影響を及ぼすおそれがある「管理不全空家等」や「特定空家等」に該当する場合があります。市区町村から改善を求められても対応せず、勧告を受けると、土地の固定資産税を軽減する住宅用地の特例が適用されなくなります。
出典:国土交通省「空家法とは」
近隣トラブルのリスク
屋根や外壁の部材が落ちたり建物が倒れたりする危険があるほか、伸びた庭木が隣の敷地にはみ出す、ねずみや害虫が発生する、ごみが捨てられて産卵するといった問題も起こるおそれがあります。
また、窓や扉が壊れたままだと、不審者が入り込む危険性もあります。管理が不十分な空き家の倒壊や部材の落下によって、隣家や通行人に被害が出た場合は、所有者や管理者が損害賠償責任を問われる可能性があります。
Q3: 空き家の名義や権利関係が複雑な場合はどうすればよいですか?
空き家の名義や権利関係が複雑な場合は、まず登記事項証明書などで所有者を確認し、相続人同士の話し合いや相続登記など、必要な手続きを進めましょう。複数人で所有している場合や、意見がまとまらない場合は、司法書士や弁護士などへの相談も選択肢になります。
遺産分割協議の進め方
遺言書がない場合、亡くなった人の財産を誰がどのように引き継ぐかは、原則として相続人全員で話し合う「遺産分割協議」で決めます。まずは戸籍の証明書を集めて、誰が相続人にあたるのかを確認します。
話し合いがまとまったら、決まった内容を「遺産分割協議書」という書類にまとめます。この書類を相続登記に使用する場合は、原則として相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添付します。相続人のうち1人でも合意しない人がいると協議は成立しないため、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の調停を利用する方法もあります。
相続をめぐっては、親族間の意見が対立するケースもあります。株式会社NEXER Groupと株式会社アドワン・ホームは、2026年5月1日〜11日に、不動産相続の経験がある、または将来相続する可能性がある全国の男女200人を対象にインターネット調査を行いました。
その結果、12.0%が不動産の相続をきっかけに親族間で意見が対立したりトラブルになったりした経験、またはその不安が「ある」と回答しました。相続手続きを円滑に進めるためにも、早めに相続人同士で話し合い、権利関係や今後の不動産の扱いについて方針を整理しておくことが大切です。
アンケート引用元(PR TIMES):【不動産相続】約67%が「分割方法の意見対立」に不安あり。「早期売却」「専門家のサポート」「買取サービス」が解決策の上位に
出典:裁判所「遺産分割調停」
相続登記の申請
2024年4月1日から、相続した不動産の名義を変更する「相続登記」の申請が義務になりました。相続が始まったことと、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となります。
2024年4月より前に相続した不動産も対象です。2024年4月1日より前に取得を知っていた場合は、原則として2027年3月31日までに申請が必要です。
期限までに相続登記が難しい場合は、自分が相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」という制度もあります。この制度を利用すると、申し出た相続人について、ひとまず基本的な申請義務を果たせます。
ただし、遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内に決まった内容に沿って相続登記を行う必要があります。
Q4: 売れない・売りにくい空き家はどのように対処すればよいですか?
老朽化した空き家や、建物を建て替えられない再建築不可物件などは、通常の売却が難しい場合があります。ただし、不動産会社などの専門家に相談することで、買取や解体、賃貸としての活用など、状況に合った方法を検討できます。
通常の売却が難しくなるケース
建物の傷みが激しく大規模な修繕が必要な家や、駅から遠く生活に不便な場所にある家は、買い手が見つかりにくい傾向があります。
また、土地が建築基準法上の道路に2メートル以上接していない場合は、原則として建物を建て替えられない「再建築不可物件」に該当することがあります。
複数人で所有する共有名義の物件も、売却について共有者全員の同意が得られなければ通常の売却は難しくなります。過去に事件などが発生した物件も、買い手が見つかりにくくなる場合があります。
出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインについて」
専門家に相談することで見えてくる選択肢
不動産会社による買取であれば、古い家を修繕せず、そのままの状態で売却できる場合があります。また、立地や建物の状態によっては、解体して更地で売る、駐車場や賃貸物件として活用する、自治体の空き家バンクに登録するといった方法も考えられます。
どの方法が適しているかは、建物の状態や税金の負担、相続人の意向によって異なります。不動産会社だけでなく、必要に応じて税理士や司法書士などにも相談すると、判断しやすくなります。
株式会社NEXER Groupと株式会社アドワン・ホームは、2026年5月1日〜11日に、不動産相続の経験がある、または将来相続する可能性がある全国の男女200人を対象にインターネット調査を行いました。
その結果、弁護士や各種士業と連携した体制で売却まで一貫してサポートしてもらえたら助かると思うかという質問に対し、33.5%が「とても思う」と回答し、47.5%が「やや思う」と回答しました。合計81.0%が肯定的な回答を示しており、専門家による一貫したサポートへのニーズがうかがえます。
アンケート引用元(PR TIMES):不動産相続】約67%が「分割方法の意見対立」に不安あり。「早期売却」「専門家のサポート」「買取サービス」が解決策の上位に
まとめ
空き家を売らない理由には、思い出への愛着や家財の片付け、解体費用の負担、相続人同士の意見の違いなどがあります。ただし、放置すると老朽化や税負担、近隣トラブルのリスクが高まるため、早めに権利関係を確認し、売却や活用の方針を考えることが大切です。
株式会社アドワン・ホームでは、相続した空き家や売却が難しい物件について、無料個別相談を承っています。共有名義や建物の老朽化など、売却の判断が難しい物件についても状況を伺い、弁護士・税理士・司法書士などと連携しながら、相談から売却までひとつの窓口でサポートいたします。売却を迷っている方もご相談いただけます。空き家の扱いにお困りの方は、お気軽にご相談ください。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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