今回は空き家について書きたいと思います。
空き家は地方都市を中心に増えています。増えた空き家に注目し、新規で空き家を購入後にリフォームを施して、民泊として外国人観光客などに貸し出す個人の不動産投資家もいますが、まだまだ少数で利活用されていない空き家が多いです。
空き家が増えると庭木が繁茂し害虫・害獣が発生するなどで防犯上もマイナスとなり、治安悪化から周辺の不動産価格も押し下げます。その物件だけでなく周辺住宅の売買や賃貸にも悪影響が及び、取引の停滞で更に空き家が増えるといった悪循環が起こりやすくなります。日本全体の経済損失は2023年までの5年間で3.9兆円に上るとの試算を民間団体がまとめました。この試算は、企業や研究機関など15団体が集まり空き家問題に取り組む「全国空き家対策コンソーシアム」の試算で、総務省が2024年4月に公表しました。
売却や賃貸といった目的がなく、長期不在の放置空き家は2018年から2023年までの5年間で約36万戸増え、約385万戸となりました。約7割が戸建てです。また日本全体の所有者不明土地の面積は、九州の面積を超えたとの報道もありました。
マンションが放置空き家になり相続などの際に所有者が不明になると、管理費・修繕積立金の滞納に繋がり、適切な修繕や日常管理が行えなくなるなど、そのマンション内の他物件の資産価値への下落要因に繋がります。また、高齢者だけが住む地域では、将来的には加速度的に空き家が増える地域もあり、相続の際に相続放棄で地価損失が雪だるま式に増える未来が見えてきます。
今後の日本は人口が減っていきますが、1人暮らしの増加で世帯数はまだ増えています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では2030年には世帯数がピークとなり、住宅の総需要が減少傾向に入り始めると空き家が急増する可能性が高いです。
そこで、国土交通省は全国で増加する空き家を減らす目的で、私どものような不動産業者が流通に乗り出しやすくなるような対策をしました。相続の相談や利活用の提案といったコンサルティング業務は、法律で定める仲介手数料の規制外となるように明示し、空き家に限って仲介手数料の上限を引き上げます。仲介手数料の上限は売買代金によって料率が定められており、200万円の場合は5%で10万円と決められています。但し状態が悪い「低廉な空き家」に限っては特例で最大18万円と高く設定していました。これが2024年7月から30万円に引き上げられました。
18万円でも空き家の場合は相続の相談や利活用の提案などが絡むことが多く、一般的な仲介業務に比べて時間と手間を要するので、不動産業者としては積極的に受注したい分野ではありませんでした。その分野の料率を引き上げて空き家流通の活性化を国土交通省は目論んでいます。
最近、国は相続登記を義務化するなどで対策を強化していますが、もっと以前から相続登記を義務化して欲しいですし、更に様々な対策で空き家対策をして欲しいと考えます。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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