不動産経済研究所が発表した2025年上半期の新築マンションの平均価格は、東京23区で1億3064万円で前年同期比2割上昇しました。そんな中、新築マンションほど上昇していない一戸建て住宅に注目される動きが広がっています。

今回は新築一戸建て住宅について書きたいと思います。
不動産調査会社の東京カンテイがまとめた2025年9月の新築一戸建て住宅(小規模)の平均希望売り出し価格は、東京23区で8426万円となり前年同期比1割上昇しました。調査は敷地面積50平米以上100平米未満、最寄り駅まで徒歩30分以内またはバスで20分以内の物件を「小規模」として調査しています。
東京23区のマンション価格の高騰と供給減少を受けて、マンションを断念した層が流入しているようです。敷地面積50平米前後の3階建てで、1階は駐車場と水廻り、2階はリビングルーム、3階に寝室・子供部屋という間取りが多い、いわゆる「ペンシル住宅」と呼ばれる更に小規模な新築一戸建ても都心部を中心に存在感が高まっています。
その一方で、新築戸建てでも2億円超のハイスペックな建売住宅が大手住宅メーカーから販売されるなど、選択肢が増えています。高額な建売住宅は住友林業、野村不動産、準大手ゼネコンの高松コンストラクショングループなどが参入しています。
高額建売住宅の対象顧客層はタワーマンションなどに住んでいた二次取得層で、子供の成長とともに手狭になり住んでいたマンションを売却しての住替えが生じる層です。不動産価格の上昇を受けて、住んでいるマンションが購入時よりも高く売れるので買い替え先の物件が高額でも対応しやすくなります。
かつては、2億円を超える一戸建て住宅は設計やデザインからこだわる注文住宅が主流で、建売住宅は殆どありませんでした。設計や設備、間取りや壁紙などの細部にまでこだわり、毎週のように業者と打ち合わせをして一つ一つ決めていくことになります。
しかし、そういうプロセスが合わずにタイムパフォーマンス(タイパ)を重視して、標準設備やデザインがハイセンスな仕様で揃えている高額建売住宅という価値観を販売側が提示して、長い打ち合わせや決定プロセスを避ける層を掴んでいると言えそうです。とはいえ、高価格帯の購買層は目が肥えている層でもあり、納得させる物件の開発は容易ではありません。
高松コンストラクショングループの戸建て住宅子会社のタカマツハウスでは、ホテルライクな部屋を目指してインテリア販売の企業とコラボしました。キッチンなどの住設機器からテーブル・ソファなどの家具を含めてインテリア販売の企業に一任して、統一感や高級感を出して目の肥えた層をしっかりと掴もうとしています。
子育て世代にとっては、マンションが狭くなっていることも一戸建てに魅力を感じる要因です。不動産経済研究所によると、2024年に首都圏で供給された新築マンションの専有面積の平均値は66.42平米と、10年前と比べて7%近くも狭くなりました。かつては3LDKで75〜80平米程度の物件が多かったのですが、近年では60平米台も増えています。
東京カンテイによると、敷地面積50平米未満の狭小住宅を除く、東京23区の新築一戸建て2024年12月時点で112.3平米でした。新築マンションとの差は大きいです。
子供が大きくなり、住んでいるマンションが手狭と感じてマンション売却で利益を出して、高額一戸建てに住み替える事例が増えています。マンションでは駐車場の車高制限があることも多く、人気車種のアルファードなどのハイルーフ車が停められる駐車場は数年待ちになることもあります。一戸建てならば家を出てすぐに車に乗れる上にハイルーフ車が停められ、更に駐車料金は不要です。
管理費・修繕積立金の支払いは個々でコントロールして、将来のメンテナンス費用に関しては抑制しやすいことなども魅力に映るようです。
住友林業は2025年7月に高額の建売一戸建て事業に参入しました。最初のプロジェクトは品川区内で4棟を販売し、平均価格は2億6000万円台です。従来であれば、6区画に分けていた敷地を4区画にして面積を確保しました。1戸あたりの延べ床面積は120平米以上あり、東京都の分譲住宅の2024年平均延べ床面積79平米(国土交通省調べ)の1.5倍以上を確保。都内では建ぺい率・容積率をいっぱいに建てるケースが多いですが、物件間の距離を確保するだけでなく外壁を高くしてプライバシー性を高めました。デザイン性の高い外壁や性能を備え、街区内は電柱を地下に埋める無電柱化にも取り組み付加価値を高めたようです。
また、野村不動産はマンションブランド「プラウド」のノウハウを投入して、石彫りのタイルや御影石・大理石などをふんだんに使用した上で、設備面ではガス乾燥機や食器洗浄乾燥機や宅配ボックスを標準導入して、高級感と合理性の両立を求めるパワーカップルの需要をすくい上げた2億円台の建売一戸建てを都心部で販売しています。
一戸建て住宅市場は、中古住宅にも問い合わせが増えています。不動産情報サービスのLIFULL(ライフル)によりますと、2025年1〜8月の首都圏の中古一戸建ての問い合わせ件数を市区町村別のランキングにすると、1位は東京都八王子市、2位は埼玉県川口市、3位は神奈川県横須賀市となりました。
都心に比べて比較的に割安な郊外の物件で問い合わせが増えていて、実需の高さが感じられます。新築・中古、一戸建て・マンションなど、お住まいの購入には上記のように色々な選択肢がありますので、お住み替えをお考えでしたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせ下さいませ。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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