マンションの老朽化が進み、建て替えを考えるマンション管理組合が少しずつ増えています。
国土交通省によると2022年末で築40年以上の分譲マンションは約126万戸あり、20年後の2042年末には約445万戸に増える見込みです。それぞれの所有者が決めることが出来る一戸建てと異なり、マンション建て替えの合意形成は多数の区分所有者の様々な意見があります。
建て替えに強みを持つ旭化成不動産レジデンスでは、合意形成までに平均で約8年かかるとのことです。現在では区分所有者の5分の4が「建て替えに賛成する」という、高いハードルが課せられていることが要因の一つです。マンションの総戸数にもよりますが、一般的にはあと数戸程度の合意の取りまとめに時間を要することが多いようです。5分の4の賛成ですので、79%と80%では大違いということです。
そして、5分の4の建て替えの合意形成を取りまとめた後にも、難題が待ち構えるケースがあります。それは区分所有者が自身で居住しないで第三者に賃貸で貸し出しているケースで、建て替える為の立ち退きに借主(賃借人)が応じてくれないケースです。現在は立ち退きに強制力がなく、借主に退去義務がありません。貸主(賃貸人)が借主にお願いして退去してもらうので、補償金(立ち退き料)などの条件で折り合わず建て替え計画が進まないケースが多いのです。
そこで、政府は決議要件の緩和案を提示して2024年の通常国会への区分所有法の改正案提出を目指します。現在は区分所有者の5分の4の賛成となっていますが、改正案では4分の3へ緩和。また、相続放棄などが発生して所在が分からない所有者がいるマンションで耐震性などに問題があるマンションに関しては、所在が明らかな人だけを対象に4分の3の賛成に引き下げる案となっています。
ある専門家は更に一歩踏み込んで、借主への補償金額の算定方法のガイドラインや補償金の支払うタイミングなどが分かりやすく整備して欲しいと意見もあります。別の専門家は建て替えへの合意形成が出来ても、近年の建築費高騰を不安視しています。2025年に大阪で開催される万博の会場建設予算も人件費や建材費などが上昇している影響で、当初予算から約1.9倍の2350億円に膨らんでいます。
マンション建て替えで合意した段階では1戸あたりの負担金が仮に1,000万円だったとしても、手続きを踏んで実際に建て替える際には1,500万円、2,000万円へと上昇する可能性を懸念しています。そうなると支払えない人が出てきて、建て替え計画が頓挫する可能性を指摘しています。専門家などの意見をうまく取り入れて、実務的に友好的な改正が出来ることを願っています。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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