前回の当ブログで取り上げましたバス業界の2024年問題。
2024年問題とは働き方改革法案により、2024年4月以降の時間外労働時間の上限が制限されることで、時間外労働時間の上限が業種によって異なるのが特徴です。上限を超えて労働させると雇用する企業側に懲役や罰金が課されるので、様々な業界で対応を迫られています。注目されているのが陸運、物流、医療、建設などの業界です。基準を超える時間外労働が出来ないので、1人当たりの労働時間が現在よりも減ることが予想されており、人やモノが計画通りに運べない、納期が間に合わない、患者への治療が滞るなどの懸念が膨らんでいるのです。
今回は「建設業界の2024年問題」を取り上げます。
トラック運転手などの物流業界では、4月以降の時間外労働の上限時間は年960時間になりますが、建設業界では月45時間、年360時間が上限となります。年360時間ならば12で割ると月あたり30時間ですが、建設現場では雨季は仕事がやりにくいなどによるバラつきもあり単月での上限が45時間となります。
建設業界も人手不足が深刻で1990年は685万人いた現場労働者が2022年は479万人に減少し、更に労働者の高齢化も進行しています。そして、4月以降は2024年問題で時間外労働時間が制限される訳で、納期が遵守出来るのか懸念されます。
建設物価調査会が発表した2023年11月の東京地区の建築費指数(2015年を100として指数化した建築費指数)は、マンション(鉄筋コンクリート造)は126に上昇、住宅(木造)は133に上昇とそれぞれ過去最高になりました。2020年まではそれぞれ105〜106程度で推移していましたが、ここ2〜3年位で大きく上昇しました。
生コンや鋼材などの建築資材の上昇もありましたが足元で資材価格は落ち着いてきており、人件費の上昇が大きなウエイトを占めています。現場労働者が減っているのは少子高齢化が大きな要因ですが、労働環境も大きいようです。国土交通省は「週休2日制を推奨する」と掛け声をかけていますが、多くの現場ではまだまだ日曜・祝日と雨天しか休めないのが実情で、更に低めに抑えられた賃金体系などで若い労働者の定着率が低いままです。現場労働者は日給制の人も多く、時間外労働時間が減ると手取り収入が減少することから、一部労働者は「もっと働きたい、もっと稼ぎたい」と考える人もいるようですが、雇用する企業側に懲役や罰金が課せられるので規定の時間を超えて働くのは難しそうです。
現在は大手企業を中心に多くの業種で賃上げ機運が高まっていて、報道では前年比7%だ、10%だと大幅な賃上げを発表している大手企業が複数あります。ゼネコンなどから下請けをしている工務店などでも賃金を上げて求人募集をしていますが、長時間労働や体力が必要な重労働であることから想定通りに人が集まっていません。
来年4月から建設業界の2024年問題を想定した納期でゼネコンや工務店はこれまでに受注をしていますが、厳格な納期の遵守が求められる業界だけに、受注段階よりも一層の納期の長期化やそれに伴う更なる建築費用の上昇が懸念され、新築マンション価格や新築オフィスビル賃料の上昇がまだしばらく続くと予想します。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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