全国の小中学校でプール施設の廃止が進んでいます。多くは建築から40〜50年前後が経過して老朽化が進み、大規模改修や建て替えのタイミングなのですが、改修や建て替えを見送るケースが増えています。少子化が進み、人口減少で多くの自治体が財政難になり改修費を捻出することが難しくなっているのです。
今回は小中学校のプールの廃止について書きます。
私の知人に八王子市立小学校の隣接地に住んでいる人がいるのですが、その知人が「今年から夏が静かになったよ」と言うので話を聞いてみると、隣接の小学校では今年から水泳の授業は学校のプールではなく、民間のスイミングスクールで行うことになったとのことでした。小学校の水泳授業は一般的に「キャーキャー、ワイワイ、ガヤガヤ」と賑やかで、その小学校でも昨年まではプールから楽しそうな声が響いていたのですが、今夏からその賑やかさがなくなったようです。
八王子市だけでなく、私が見たニュースでは埼玉県坂戸市でも同様でした。屋外プールは常に紫外線にさらされて雨ざらしの状態になるので、市立小学校のプールは築53年も経過してひび割れだらけになっていました。ひび割れだらけでは足などにケガをする恐れがあるので、利用するには改修が必要です。しかし、同時期に建築された小中学校は市内に複数あり、それらのプールも同様に劣化しており、複数で改修が必要になる為に費用負担が膨らみます。
更に近年の猛暑の影響で屋外で行う水泳の授業が中止になることが増えて、計画通りに授業が進められないことも問題となっていました。また、教員の負担も増えており、止水するのを失念し数日間も水を出しっ放しにして多量の水が溢れてしまい、「校長と担当教員が折半して、100万円を超える水道料金を負担した」といったニュースも毎年のように日本のどこかで耳にします。
そこで、埼玉県坂戸市では改修費と水道料金などの経費と試算して、水泳授業をスイミングスクールへ民間委託することに決めました。委託費や送迎バス料金などを比較すると、委託した方が金銭的なメリットが大きく、更には教員の負担や空調がある室内プールで授業が行える生徒・児童への負担なども考えると、坂戸市では民間委託が最適と判断して順次切り替えていくようです。
他にも島根県江津市の江津東小学校では、今夏から水泳の授業を市民プールに切り替えました。築40年以上の校内プールは水道管が故障してしまい、改修に1億円近くかかることから利用を断念しました。同校の校長は「天候に左右されず、教職員によるプールの管理の必要もなくなった」と利点を強調しています。こちらでも施設利用料や送迎バス料金は年間100万円以下で、水道料金や改修費用を下回るようです。同市では他の学校で老朽化などで大規模改修が必要になった場合、今後は新設や改修をせずに廃止することを決めました。
目黒区でも同様に小学校の水泳の授業を学校外のプールに順次移行する基本方針を定めました。逆に民間事業者もこのような流れをビジネスチャンスと捉えており、大和ハウス工業が運営するスポーツクラブNASは授業の受託事業に本格参入するようで、同業他社でも同様の動きが広がっていきそうです。これが時代の流れなのでしょうね。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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