2023年9月19日に国土交通省から基準地価の発表がありました。基準地価は都道府県が不動産鑑定士の評価を元に、毎年7月1日時点の全国の地価を評価して、国土交通省が毎年9月に公表します。
公的機関が公表する地下の指標としては国土交通省が3月中旬に公表する公示地価、国税庁が7月1日に公表する路線価があります。この2つはどちらも1月1日時点の地価の算出であるのに対して、基準地価は7月1日を調査時点とするので年央の動向の把握がしやすいです。基準地価と公示地価は売買の目安として、路線価は相続税・贈与税の算定に用いているのが特徴です。
今回の基準地価の傾向としては、ここ10年位は都心部の上昇が目立ちましたが、今回は地方都市にも上昇が広がったと感じました。上昇が目立った地域は大規模な工場が出来る予定地の周辺、そして訪日客が戻りつつあり観光地周辺などです。
半導体製造の世界トップ企業である台湾TSMCが大規模工場建設をする熊本県。元々、ソニーなど国内メーカーの工場が熊本県内にあったのでTSMCは連携が見込めて進出しやすく、熊本県を選んだ可能性があります。TSMCが進出することが決まると、ソニーや三菱電機などの他メーカーも工場を拡張したり新たな工場建設や、既存工場の増産を発表しており規模が膨らんでいます。
大規模工場建設ではもう一つ、日の丸半導体企業として期待が高いラピダスが進出する北海道千歳市です。ラピダスはソニー・トヨタ・デンソー・NTT・NEC・ソフトバンクなどの国内テック企業が出資しており、TSMCと同程度の2ナノレベルの最先端半導体を量産することを目指しています。こちらもNTTなどが千歳市に拠点を設けることをトップが名言しており、工業団地としての規模が更に膨らみそうです。
大規模工場建設となれば長期間の建設になるので建設作業員の住居も必要ですし、完成して実際に工場が稼働すれば雇用が増えて商業施設が出来るなどで大きく人流が変わります。
千歳市は前年比約3割も上昇した地点が複数あり、商業地の上昇率が全国2〜4位に入っていました。熊本県のTSMCの工場予定地近くでは約25%上昇する地点がありました。
人気観光地の飛騨高山がある岐阜県高山市の商業地も前年のマイナスからプラスに転じました。その高山市や観光地の沖縄県那覇市では1割前後の上昇が見られました。都内の商業地では上昇率の上位地点は観光地の浅草が独占しており、こちらも地方圏と同程度の1割前後の上昇です。
23区内の地価はここ10年強でかなり上昇して、不動産売買も賃貸も高くなりました。このような不動産市況の中で、東京圏で注目されているのが千葉県我孫子市です。経済ニュースで放送されていたのですが、我孫子市によると都内から1時間圏内の地価(1平米あたり)を比較した結果、東京都狛江市が約38.5万円で千葉市が約38万円に対して、我孫子市は約10万円とのことです。
また待機児童ゼロを1986年から続けており、子育てもしやすいと我孫子市側はアピールしていました。しかし地価が相対的に低かったことで市外から人流が増えて、今回の基準地価の発表では上昇率が18%台で、東京圏住宅地の1位と2位が我孫子市でした。
相対的に地価が低かった地域が高くなり、23区内のように相対的に高かった地域は高いままですと、都内はまだまだ高い傾向が続く可能性が指摘されています。
株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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