2025.04.16 マンション 戸建て 賃貸 その他 購入・売却 代表ブログ

40〜50代の持ち家比率が大きく低下

持ち家率就職氷河期世代賃上げ住宅・土地統計調査金融広報中央委員
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今回は40〜50代の持ち家率が低下している件について着目したいと思います。

 

国の最新の調査では全世代平均の持ち家率は横ばいですが、40〜50代の持ち家率は30年前と比べて約10ポイント低下しました。40〜50代は一般的にはこのまま高齢期にどんどん近付いていきます。

 

この世代は就職氷河期世代とも呼ばれ、バブル崩壊後の不景気で就職難に見舞われた世代と重なります。現在も経済的な苦境は続いており、老後の年金受給金額にも不安が残れば賃貸住宅に住むこともままならない可能性さえあります。

 

内閣府によりますと就職氷河期世代は1993〜2004年に社会に出た人を指し、私もこの世代に該当します。識者の分析によるとこの世代は2000万人を超えて、日本の総人口の6分の1弱に及びます。

 

5年に1回実施される総務省の住宅・土地統計調査では、持ち家率が最新の2023年調査で40代が58%、50代が65.5%で30年前と比べるといずれも10ポイント前後も低下しました。

 

他の世代と比べて低下幅が大きく、その一因として考えられるのは経済的な厳しさです。文部科学省の調査では大卒の就職率はバブル崩壊前の1991年と比べると、5〜26ポイントも低いのです。

 

また、就職出来ても収入は伸び悩んでいます。現在の大卒初任給は30万円を超える大企業が増えてきましたが、就職氷河期世代の年収増加率は、厚生労働省の調査によると2023年までの10年間は他の世代よりも低く推移しました。

 

年収の低迷は住宅の購入を抑制し、経済的不遇で結婚しなかった人が多い点も一因として挙げられます。また、リーマンショック後の不況から脱してきた2013年頃からは住宅価格が上昇し、単身で住宅購入を考えた人には逆風となりました。国土交通省の不動産価格指数は2010年と比べて一戸建て住宅で16%高、マンションで2倍超となり、特に都心部では諦めムードが漂います。

 

金融広報中央委員が2023年に持ち家でない2人以上の世帯に住宅の購入意向を聞いた調査では、40〜50代は「将来にわたり取得する考えはない」が約43%と20ポイント弱も上昇し、他の世代との差が際立っています。

 

持ち家はローンを完済すれば高齢期の住居費の負担は抑えられますが、賃貸住宅の家賃負担は生涯続きます。国土交通省などの審議会でも40〜50代の持ち家率の低さはかねてから注目され、将来の課題の一つとして認識されています。このままでは生活保護などに頼る人が一気に膨らむ可能性が指摘されています。

 

賃上げが定着しつつありますが、この流れを変えられるのでしょうか。「氷河期世代の先頭が65歳以上になるにはあと15年程度。それまでにどれだけ有効な対策が打てるかが焦点だ」と指摘する識者もいます。

 

賃上げが若い人だけでなくこの世代まで広がっていくのか、またどのような対策を打つのか。注目したいと思います。

古田 晋一
この記事を書いた⼈

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一

宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者

新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。

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