この世に生まれてきたならば、誰しもいつかは命が尽きる日がやってきます。早いか遅いかの違いがありますが、こればかりは仕方ありません。命が尽きると、日本では火葬されることが大半です。東京23区では近年、火葬料金が高騰しており問題となっています。
今回は東京23区の火葬料金について書きたいと思います。
東京23区の火葬場9カ所のうち7カ所が民営で、公営は2カ所だけです。東証プライム上場企業の広済堂ホールディングス傘下の東京博善が、民営7カ所のうち6カ所を運営している状況です。
しかし、火葬場は都内の23区外を含めて、全国では殆どが公営なのです。公営施設の運営経費は大半が税金でまかなわれ更に公費補助などもあり、都内の23区外の火葬料金は無料か最大2万円程が主流となっています。
総務省の小売物価統計では、東京23区の料金が9万円と全国で断トツです。2位の沖縄県那覇市は2万5000円、最安値は三重県津市で3000円、札幌市や新潟市は無料です。住民負担が6000円の千葉市では、原価が3万円でその2割を住民負担と示しています。ずば抜けて高く感じる東京23区の火葬料金ですが、民営企業の事情としては公営と異なり法人税の納付があるので、その分は火葬料金に反映する必要があります。
また、東京博善の説明では、火葬炉の維持・更新に備えた積立金が含まれているとのことで、公営の臨海斎場(港区・品川区など5区が共同運営)は地域外住民の料金が8万8000円で、それと比較しても妥当な料金設定との立場です。但し、臨海斎場の地域内住民の料金は半額の4万4000円で、「地域外住民の料金8万8000円は、地域内住民の利用を優先するために、あえて高めに設定しています」と説明しています。そう考えると9万円はやはり高く感じます。
広済堂の株式は、2019年に大株主が保有株を家電量販店ラオックスの中国人社長に売却。2020年には広済堂が東京博善を完全子会社化しました。その中国人社長は現在、ラオックスホールディングス(東証スタンダード上場企業)の代表取締役会長となり、2022年から広済堂ホールディングスの代表取締役会長も兼務しています。

その間の火葬料金は2021年には5万9000円から7万5000円に3割弱の値上げされ、曲折を経て2024年には9万円へと値上げされました。火葬場の新規開設は地域住民の反対が大きく、参入障壁が高くてライバル火葬場が増えない構図となっています。既存の火葬場の運営に東京博善が参入した為、東京23区の火葬場は中国資本に独占されて火葬料金が高騰していると批判的な意見が上がる事態となっています。
ようやく東京都も対策に乗り出しました。火葬場への指導監督権を持つ各区と協力して、実態調査の他に国へ法改正を働きかける動きが出てきました。都議会では法改正で既存火葬場を含めた火葬場の経営主体を自治体に限定し、料金設定は都道府県に認可を求める要望書を提出した会派もあります。
但し、行政が民間の料金設定に介入出来るかは不透明で、年内は実態の調査に留まりそうです。今後の東京都の動向に注目したいと思います。

株式会社アドワン・ホーム 代表取締役
古田 晋一
宅地建物取引士、公認 不動産コンサルティングマスター、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®︎認定者
新卒で入社した総合不動産賃貸業者にて賃貸仲介・管理業務等に従事したのち、住友林業ホームサービス株式会社にて不動産売買仲介を経験。
営業時代に最優秀個人売上賞(全社1位)をはじめとして住友林業グループ表彰(年間全社3位以内)を複数回に渡り受賞。店長・支店長時代には店舗損益予算達成率 全社1位、営業部長時代には部門損益予算達成率 全社1位を獲得するなど、各ステージで特別表彰を受賞。
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